ウリちゃんとモモちゃん

1/3
前へ
/3ページ
次へ
 朝、目が覚めると、オトさんが目玉焼きをいた。 「お、目が覚めたか?」  まだ、ぼんやりする。ベーコンのいい匂い。オトさんが、冷蔵庫からビン入り牛乳を出して、テーブルの上のガラスのコップに入れた。 「パンには、何つける?」 「イチゴジャム」 「お、了解」  ザリッザリッって音。オトさん、塗っちゃったよ。 「!」 「ああ、ごめんな。オトさん、勝手なことしたな。じゃ、これはオトさんが食うか……」  椅子によじ登って座る。  オトさんから焼いたパンをもらって、自分でジャムを塗る。振り返ったら、畳の部屋の奥に布団が敷いてあった。 「あー、後で準備しておかなくちゃな」 「じゅんび?」 「昼ご飯は、何食べようか?」 「うどん」 「じゃぁ、そうしよう。ご飯食べたら、着替えような」 「うん」  静かだなぁ。  フォークでベーコンと卵をゴシゴシする。うまく切れない。卵を突き刺して、お皿を寄せた。黄身がこわれてとろりと流れた。  ちょっとがっかりした。今日は、失敗。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加