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新年というだけでなんとなく喜ばしい空気になる。よのぎさんもテレビの漫才を見てげらげら笑っている。
お正月のお餅は商店街のお米屋さんのもの。サランラップにくるまれただけの800円としか書かれていないものを買って、切る。文化包丁しかなくて二人で四苦八苦。
「来年はもっと上手にできるわ」
とよのぎさんが笑う。
「布の裁断なら得意なんだよ」
しかも不揃いになってしまった。かなり大きめな長方形の餅を焼いて食べる。それが昼食。
「おいしいけど、おじいちゃんのお餅が懐かしい。つきたてでおいしいのよ」
僕も餅つきの想いでは子どもの頃にさかのぼる。
「家ができたら餅つきしようか。庭もあるし」
「粉まみれになるのよ」
「うちのほうはしょう油をつけて食べるだけだった。海苔で巻くくらい」
「私まだ七さんのご実家に行ってないわ」
「もう親はいないし」
「でもお兄さんがたくさんいるんでしょう。七さんが七番目だから六人もいるのね。兄弟だから似てる? この顔が七人?」
僕以外はみんな結婚をしていて上の兄たちには孫もいる。報告は長男にしかしていないが、田舎だから噂が回るのは早かっただろう。
せっかくの休みで仕事から解放されてもデザインのことを考えてしまう。伸びた餅のような服を描く。
「一反木綿みたい」
とよのぎさんが笑う。
このところあまり色味のない服ばかり考えていたからこれはピンクで。どこで縛ったらきれいに見えるのだろう。ハイウエストがいいだろうか。イメージするのはよのぎさんの裸で申し訳ない。
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