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第8話:はじめてのカツアゲ
「そしたら、弱そうな奴、見つけてきますわ!」
「アホか! 極道が、弱いもんイジメ出来るかい!」
「ええ……! ほな、誰を狙うんでっか?」
「歩いてたら、喧嘩ふっかける奴ぐらいおるやろ!」
「まぁ、確かに……」
俺と虎鉄は、ぶらぶらと町を歩いた。
探してると見あたらんもんで、ガラの悪そうな連中も目につかん。
ふと、子供が虎鉄を指刺した。
「お母さーん! 小っちゃいおじさん、くりくりで変な髪型だよ!」
「誰がくりくり頭じゃ! これはパンチパーマや!」
「これ、目合わせちゃいけません! 早く行くわよ」
虎鉄の身なりは、昭和のチンピラそのままや。
ひげ面にパンチパーマ。ブラッ〇ピアの黒の上下。
おまけに小脇にセカンドバッグまで抱えとる。
まだ25歳やのに、50に見えるおっさん臭。
「おい、虎鉄! お前もっとニコニコせぇ!」
「え!? ニコニコて……」
「お前ガラ悪いから、近寄ってこんのじゃ!」
「そ、そうなんでっか……? じゃあ、こんな感じで?」
こいつの笑顔は、気味が悪い。
それじゃストリップ小屋におる、呼び込みのおっさんやんけ。
でも、イカツイよりはマシやろう。
「そうや、そんな感じで笑顔絶やすなよ!」
「へい、兄貴!」
虎鉄は、陽気に愛想をふりまいた。
しゃーけど、誰も目を合わさん。
何かが、ビミョーに違う気がする。
「おい、虎鉄!」
「へい」
「もっと笑え」
「え? もっとでっか?」
「そうや!」
「じゃ、じゃあ……。こんな感じでっか?」
眩しい笑顔と言いたいとこやが、笑う顔が何かに似とる。
そうや! 眼鏡かけたら『くいだ〇れ人形』やんけ!
頼むし、眉毛動かすなっちゅうねん……
あかん……、笑いが込み上げてくる。ぷっ……
「兄貴、なんで目反らすんでっか?」
上目遣いで、こっち見んなアホ……。ぷっっ……
「ち、違ゃうわい。不審な奴おらんか、見張っとるだけじゃ。ぷっ……」
「何笑てんですか?」
「やかまし! さっさと歩け! ぷぷっ……」
それから、小1時間ほど練り歩いた。
誰も俺たちを見ようとは、せん。
目が合うやつは、笑いを堪るし……。
「虎鉄、俺ちょっと小便してくる」
「ほな、わても……」
「あほか! 絡んで来る奴、逃がすかもせんやんけ! もうちょっと、そこで立っとけ!」
「へい……」
俺は路地の細道に入った。
ちょうどいいスポットを見つけ、用を足す。
近くでワンコも用を足しとる。
けっこう、けっこう!
お! こんな所に銅貨発見!
しょんべんかかったけど、拭いたら終いや。
頂いとこ!
銅貨をズボンで拭きながら、虎鉄の元へ帰った。
「虎鉄、お待たせ。ええもん拾……」
お? 誰か、虎鉄に話しかけてるやん!
鎧を着た4人組。盾や剣まで、ぶらさげとる。
その内1人は魔法使い風。
見るからに、妖しい奴らや!
虎鉄が1人なのを狙って、因縁つけたんやな。
よっしゃ、これは大チャンスやで~!
「おう! うちの若いもんが、世話んなっとるみたいやの?」
「あ、兄貴!」
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――クロス作品――
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