第11話:奥の手

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第11話:奥の手

 立っていたのは、20~30人の鬼人たち。  黒い鬼は2m以上、緑の鬼は大小さまざまや。 「人間が迷い込むとは珍しいな! のう、ゴブリンども!」 「オーガの旦那、こいつら馬鹿ですぜ。武器も持たずに、こんな所を歩いてるなんて、ひひひひひ」 「そうよな! この辺りが、我々オーガ族とゴブリン族の縄張りだと知らん、大馬鹿のようだ」  緑の奴らがゴブリンで、黒い奴がオーガっちゅー訳かいな。  しかし、けったいな見た目やの。 「お前ら、何やねん。喧嘩売りに来たんけ?」 「喧嘩? おい、聞いたか? 喧嘩だとよ! はーはっはっはー!」 「何が、おかしいんじゃい?」 「喧嘩は、対等な相手に売るものだ。お前たち人間は、我々の餌ではないか! 餌に喧嘩を売るバカが、どこにおる?」 「自信満々やのう、大将! っしゃー、相手したる! 隙があったら、かかってこんかい!」  刹那、緑の小さい鬼が、ナイフを持って襲い掛かってきた。 「甘いわ、ダボ! 極道パーンチ!」  俺は、そいつを力いっぱい殴り飛ばした。  最速で打ち込んだ為、10mは吹っ飛んだ。  どうや見たか、俺様のパンチを!   「極道なめとんのか! 人数多い思て調子乗っとったら、今年の冬はクリぼっちにすんぞ!」 「その通りじゃ、カス! 去年はわしと兄貴で、一人より虚しいクリスマスやってんぞ!」 「虎鉄、お前は黙っとけ……」 「へい、兄貴。マイクパフォーマンスは、お任せしますわ!」 「お、おお……」  とにかく今の一撃で、相手の雑魚はビビったやろ。  問題は黒い鬼達。  相手の実力は、話すだけである程度わかる。  体格、言動、かました時の反応や。  この感じやと、黒い鬼は相当強い。  一度に全員相手は、しんどいと見た。  こうなったら、タイマンでいこか。   「おい、そないに自信あるんなら、タイマン張ったれや。乱闘しても、おもんないやろ?」 「1対1か、いいだろう! 俺が相手をしよう!」  さっきまでおらんかった、バカでかい黒鬼が出てきよった。  ちょ、まて……。身長3m超えとるがな!  こいつが、本物の親玉か。 「おお……。や、やったろやんけ……」 「いい度胸だ。わしを見て、逃げ出さん人間は初めてだ。ところで……」 「な、なんや?」 「そっちの奴は、戦わんのか?」  くっそー、この流れで虎鉄をつつくか!? 「誰が、小っこいおっさんやねん! なめとったら奴突(どつ)き回すぞ、コラ!」  あほ、虎鉄!  余計なこと言いがやって!  聞き違いやのに、話噛み合うとるし……。  流れ、変えられへんがな! 「勇ましいな! それじゃあ、このホブ・ゴブリンとやってみるがいい!」  緑の鬼で、一番でかいのが出てきよった。  背丈は人ぐらいだが、体幹見る限りかなり強い。2b673f50-c2b9-49ec-96f1-9c67e4a9fe83 「ボス、こいつ相手なら、通常ゴブリンで十分では……」 「甘くみるな、ホブ。人間とはいえ、こ奴等かなりの手練れだ」 「そうですか……」 「さっきのパンチ、なかなかのスピードだ。この小さいのも、実力があるかも知れん」 「わかりました。そういう事でしたら、やりましょう」 「頼んだぞ。面白い勝負を見せてくれ。ぐはぐはぐは~」  しゃーないな。  やりたないけど、奥の手出すしか無さそうや……。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ ――クロス作品―― 『異世界・宮廷料理人ティルレが、モンスターを使った無双レシピを公開するわよ!』 『イセカク ~異世界格闘技に人類最強が参戦したら、どうなるのか?~
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