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第15話:心のかたち
鬼達が足早に移動する。
そして、組体操みたいに、何かの形をつくりだした。
ん? えらい文字っぽいな?
「ゴ・メ・ン・ネ……?」
「って、ちゃうわぁぁぁぁ!」
「違うんですか?」
「全然ちゃうわ、ぼけ! 金払え言うとんねん!」
「え、囚人じゃあるまいし、金なんか持ってませんよ……」
「なんで囚人に金がいるねん?」
「そもそも、オーガやゴブリンには警察はいません。だから、捕まるってことは、人間に捕まるってことです。刑務所に入った時だけ、看守に賄賂渡す『金』が要るんです」
「まじか? 金無しで、どうやって生活すんねん」
「我々は人間と違い、食べ物さえあれば生きていけます。欲しい物があっても、人間を襲えば手に入るのですから」
「嘘ちゃうやろな? じゃあ、持ち物検査するぞ!」
「どうぞ……」
「ほな全員、腰にある革袋ひっくり返して中身出してみい」
「はい……」
みなバラバラと、袋の中身をさらけ出す。
申し合わせたように、ガラクタばかりが入っている。
ただ、共通するのは、見慣れぬ白い物体……。
「その長細い、白い棒は何や?」
「骨です」
「骨?」
「暇な時に、こうやってかじって楽しむのです。かじかじ……」
「って、お前ら犬か!」
「だって、みんな好きなんです…………」
「もうええ、あほらし! 金にもならん喧嘩してもうたで! おい、虎鉄。起きろ!」
「あ……、兄貴。痛てててて……頭痛が……。ワシどないしましたん? 記憶ないんでっけど……」
「その件は、あとで話す。それより、もう行くぞ!」
「人間殿、待たれよ」
気絶していた親玉が、目を覚まして引き止めた。
「なんや、まだやんのか?」
「ち……、違う! 喧嘩を売った詫びをさせてくれ」
「さっき、子分が頭下げとったし、言葉はもういらんで」
「それでは、我々が大事にしてる、特上の骨を……」
「だから、骨は要らんちゅーとんねん!」
「何と、欲のない奴……」
「骨欲しがる人間なんか、おるか!」
「変わっているな……」
「何にしても、無い者からむしり取るほど、性根腐ってへんわい!」
「よし! それでは、せめて宴ぐらいさせてくれまいか?」
「兄貴、わし腹減ったし、お呼ばれしまへんか?」
「お前、まだ食うんかい!?」
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――クロス作品――
『異世界・宮廷料理人ティルレが、モンスターを使った無双レシピを公開するわよ!』
『イセカク ~異世界格闘技に人類最強が参戦したら、どうなるのか?~』
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