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第2話:決裂そして……
まどろっこしい挨拶は嫌いだ。
単刀直入に用件に入るのが俺の主義。
黒田は子知恵の回る経済ヤクザ。
今でこそ親分を名乗っとるが、抗争の時は何度も助けたった。
役職は変わったが、貸しはようさんある。
遠慮することはない。
「上納金の話か? わしも、お前に言おうと思ってたところじゃ」
「そんなら、話が早い! 大体、なんでこないに――」
俺がまくし立てたその時、ドアをノックする音が聞こえた。
「失礼します。お茶をお持ちしやした」
ガタイのいい組員2人が、お茶を持って入ってきた。
俺のことを警戒して、ボディガードに来たっちゅう訳やな。
しかも、一人は元・柔道金メダリストやんけ!
どんだけ警戒しとんねん!
「竜二よ、お前もええ加減、お納めたらどうや? 今までの分はチャラにしたるから、今月からでも――」
「あないな大金、払えるかい! 他の組長らも不満持っとるぞ!」
「大金って……、お前のは、たった5千円やないか……。他の組の100分の1もないぞ……」
「何言うとるねん、先代のころは千円やったわい! ワレ、その時の10倍やないか、おー?」
「落ちつけ、竜二! 計算間違ごうとる。それに、時代が違うんじゃ。今は、腕っぷし磨くより、商売の腕磨いていけ」
「……」
「俺が盃交わしたるから、俺の元へ来い! そしたら、堺東あたりでトバ(賭博場)開かせたろ」
「おのれの子になれってか? 冗談言うな! 盃やったら、5分の兄弟盃だけじゃ!」
刹那、ボディガード2人の目つきが変わった。
親をけなされて、黙って見てる子分はおらん。
こいつらみたいな猛者なら、尚のこと。
「わしの盃受けれんちゅう訳やの? よう分かった! おのれは破門じゃ! どこぞにでも、行きさらせ!」
「上等じゃワレ! 不満持っとる組員全員連れて、組作ったるからの!」
そうタンカを切って、部屋を飛び出した。
ロビーでは、虎鉄がタバコをふかして持っていた。
「どないでしたん?」
「決裂じゃ! 破門言うてきおったわ!」
「え!? じゃあ、これからどないしますねん?」
「組員連れて、新しい「組」立ち上げじゃ! 日本一の組織にしたる!」
◇
――会長室――
「おやっさん、あのまま帰してよかったんでっか? 言うてくれたら、後ろから首取れましたで」
「お前ら、竜二を甘もうみたらあかん! お前ら2人がかりでも、返り討ちされとったわい!」
「せやかて、このままでは……」
「まあ、こうなることは予想しとったわ! もう、手は打ってある。今日中にポアしたるわい」
「しゃーけど、会長。どこの組でも、竜二と聞いたら、ビビってよう殺れませんで」
「ヒットマンは国内だけやない。ロシア人が、おるがなぁ!」
「ロシアン・マフィアでっか?」
「そうよ、それも元・スペツナズのな」
「スペツナズって何でんの?」
「ロシアの特殊部隊よ。それも暗殺専門のな! それが10人もおれば、さすがの竜二も大阪湾に沈むわ! はっはっは!」
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――クロス作品――
『異世界・宮廷料理人ティルレが、モンスターを使った無双レシピを公開するわよ!』
『イセカク ~異世界格闘技に人類最強が参戦したら、どうなるのか?~
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