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第4話:このワシが、異世界転移やと!?
男はカマキリのようにナイフを構え、コンパクトに振り回した。
首や胴体を狙わず、俺の手首を狙ってくる。
プロの動きは隙がない。
このままでは埒があかん。
仕方なく俺は上着を脱いで、右手に巻きつけた。
くそぉ! 2回しか着てへん GA●FY のジャケット!
天下茶屋天下茶屋の露店で、800円!
相手はナイフを持ち替え、俊敏に胴や首を切りつけてきた。
ナイフ使いの鮮やかな手裁き。
おかげで、GAL●Y はズタボロ。
その代わり、上着でナイフを絡めることには成功した。
「おら、取ったったぞ、おっさん!」
「дерьмо!(くそ!)」
俺は、天下に轟くステゴロの竜(仮)
取り上げた獲物を使うことはない。
ナイフは、遠くにほうり投げた。
後は、こいつをぶん殴ってフィニートや!
素手で俺に勝てるなら、やってみんかい!
「特大のげんこつ食らわしたる! 気持ちよう眠ってまえ!」
そう言った途端、帰ったはずの虎鉄が走ってきた。
「何やっとんじゃ、コラ! 兄貴から離れんかい!」
こいつは、いつも間が悪い。
今来たら、ややこしなるやんけ!
あと一息で、収まりそうやのに……。
遠くで何かが、キラリと光る。
狙撃用のスコープか?
スナイパーのこと、忘れとった!
「虎鉄、下がれ!」
言うより早く、走り出した。
移動さす為、虎鉄にタックルをする。
同時に銃声が鳴った。
――どや? 間に合ったか!?
その瞬間――
突然、地面から巨大な光が溢れ出る。
俺たちは、訳が分からんまま、光に包み込まれてしまった……。
◇
「…………これは、どういうことじゃ……」
「……どういうことでしょう……」
微かな話声で目が覚めた。
一体、ここはどこやねん?
西洋風の部屋の中。
ラブホにしては天井が高い。
「…………なぜ、魔法陣の『外』に召喚されたのだ?」
「分かりません……。ひょっとしたら、失敗したのでは!?」
王様みたいな奴と、家来ぽいのが立っとった。
こっち見ながら話しよる。
感じの悪い奴っちゃで、しかし。
そういや、ロシア軍人は何処いった? それに虎鉄は?
隣を見ると、虎鉄がいびきをかいて眠ってた。
怪我は無いし、助かったみたいやな。
とりあえず、起こすとするか。
「おい、虎鉄起きろ!」
「ふぇ……!? わて、もう食べれやしまへん……」
「何寝ぼけとんねん!」
「あれ!? 兄貴、ここ何処ですねん?」
虎鉄は驚き、テンパりながらキョロキョロしとる。
起き抜け早々、忙しいやつや。
「俺も分からん。そこの王さんに――」
言いかけると、王様がこちらに話しかけた。
「これ、そこの者。お主ら、ユウシャなのか?」
「何やと、こら! もっぺん言うてみい!」
虎鉄がどえらい剣幕で、王様に食い下がる。
何をそんなにブチ切れとるんか?
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――クロス作品――
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『イセカク ~異世界格闘技に人類最強が参戦したら、どうなるのか?~
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