1.まどか考察 〜 2年7組 男子について

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1.まどか考察 〜 2年7組 男子について

 別に善行なんておおそれた事じゃない。  なんとなーく「いいこと」を率先してやりたい感じ。  強いて言うなら自分も1人だった時があったから?  ……  直感を何よりも大切にするまどかは、休み時間にクラスを見渡した。  田舎とはいえど市内一の進学校…そのため修学旅行も他校よりちょっと早めに設定されている。  高校2年の秋…修学旅行が終わり、後残り1年半の学校生活を過ごすためのグループはより明確化された…。  北海道から京都と東京への修学旅行…、保護者の意向を尊重して、飛行機移動は禁止されている。  電車移動で数日仲間と過ごし、大都市は万が一に備えてグループ行動をする。  どのグループに属するかが修学旅行の満足度を左右する。  まどかは、修学旅行前の男子生徒のグループ形成をひっそりと見守っていた。  クラスは理系進学者マジョリティーを占める。  高1の終わりに文理志望を出し、高2から卒業まではクラス替えがない。  女子はお弁当を食べているグループでもめ事がなく、数分でグループ形成は終わった。  問題は男子だ。  まどかは気づいていた。  高2の春…体育祭あたりから、男子には密かな派閥がある。  進学校といえども文武両道を重んじるせいか、春の体育祭はみんな燃える。  お揃いのTシャツを作ったり、早弁して昼休みを体育祭の競技の練習に捧げるなど、普段はあり得ない連携をするクラスがチラホラ発生する。  まどかのクラスは特にその熱が強火で、高3を抜いて学年で総合優勝するという偉業を成し遂げてしまった。  クラス仲は最高!と言いたいが、運動は勉強と同じく苦手な人たちがいる。  流石の進学校…バスケやバレーなど陽キャ専用の競技ではなく、卓球ようなワンチャンありな項目もある。  全ての競技が同時に開催されるため、卓球組は人気があるスポーツを物理的に応援に参加できない…。  その時は気づかなかったけど、クラスに馴染めない人にとっては参加しなくていい権利みたいなもの?  体育祭…まどかは彼氏の須田くんがハンドボールでの大活躍した場面を思い出しウットリした。  そうこうしているうちに、10分間の休憩は終わりそうになる。  ええっと、修学旅行後もボッチなのは…  田村くん、森くん、佐藤くん、亮か。  亮は小学校から一緒の幼馴染なので、今は話さなくていい。  田村くんは、クラスではボッチだけど陸上部だから、まあ大丈夫か。  森くんは…そういえば最近学校きてないな。  残るは佐藤くん…。  あ、後1分で休み時間が終わる。  ちょっとトイレに行きたいけど、今からじゃ間に合わないから、授業中に行こう。  とりあえず、佐藤くんに話しかけてみよう。
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