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「佐藤くん」
突然、自分の名前を呼ばれ、佐藤くんは驚いた様子だ。
まどかは佐藤くんをマジマジ見た。
近くで見ると目鼻立ちはしっかりしてる。
やや肥満気味の体型のせいか、顔がぽっちゃりしているから遠目だとわからなかった。
このダブルブリッジのメガネはどこで売ってるんだろう。
小学校の年配の先生がつけていたタイプのメガネ…。
体型やメガネのせいか佐藤くんは高校生に見えない。
20代後半から40代前半?
…って白骨死体ばりの年齢幅じゃん。
まどかが黙って見つめているので、佐藤くんが口を開いた。
「何か用?」
「え!別に用はない。っていうか私の事知ってる?」
「知ってるよ。とがわさん。高1から同じクラスだよ」
「ふぇ!そうなの?」
キーンコーンカーンコーン
いいところでチャイムが鳴った。
まどかは次の休み時間で話そうかなと思ったが、数学の教科書を忘れた事に気づき昼休みまで佐藤くんと接触の機会はなかった。
……
お昼は女子グループでお弁当を食べる。
女子は机を寄せ合う。まどかのグループは7人いて大世帯だ。
今日も1人でお弁当を食べる女子はいない。
いい事だ。
満足しながらまどかは男子を見る。
男子は2、3人に別れて食べている。
1人で食べている子もいるが、単に机を移動するのが面倒なんだと思う。
学食はないけど購買はある。
お弁当だけじゃ足りないからパン買いに行こうかな…。
…と考えていると佐藤くんが食べているパンが目に留まった。
佐藤くん、お昼は菓子パンだけか…。
あの巨体は菓子パン1つで作られている?
進学校のせいか、過保護な親が多いはず。
お弁当がないのは珍しいな。
まあいいや。パンが売り切れる前に購買に行こう。
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