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2. 須田の日常〜高校について
トタトタトタ……!
あ、まどかちゃんの音だ。
部活後、制服に着替え、教室で英語の復習をしていたが、まどかちゃんが近づいてきたので帰り仕度をする。
最近、さらにまどかちゃんの足音に敏感になっているのに気づいた。
理由は僕の下半身がオッキするから。
まどかちゃんが近づくと、性的に反応してしまう…。
上半身と下半身が別?いや、ある意味うまく連動しているのに感動してしまう。
「須田くん!」
朝も一緒に登校したのに…放課後の今、すでに僕を懐かしむ顔のまどかちゃんの表現力ったら凄い。
勉学にもそれが出るらしい。
まどかちゃんの国語の読解力は僕の常識を超えている…っていうか嫉妬するくらいだ。
国語の読解力…傾向と対策を繰り返しても思うように点数が上がらない。
先月まどかちゃんと一緒に受けた模試の結果は…あやうく負けるところだった。
「ねえ!今日ね、佐藤くんと話したの!」
まどかちゃんは聞いてないのに、自分の報告をする。
それなりの話題性とオチがあるので、楽しんで聞いてしまうが、今日は唐突感がある。
「佐藤くん?クラスの人?」
「そう!今同じクラスなの!でもね、1年から同じクラスだったんだって!」
「へー。まどかちゃんから佐藤くんの名前は初めて聞いた」
どんな奴だろう。
まどかちゃんは…なんていうか危うい。
正直、僕も発掘された側というか。
初めてまどかちゃんと話した記憶が蘇る。
…
「ねえ!須田くんて学年で総合テスト一番だったんでしょ!なんで?」
最後のなんで以外は男女問わず聞かれたが、理由を求められたのは初めてだった。
田舎の高校だけど、僕の地元はもっともっとど田舎だし、まあ一応進学高だし…。上位に行くために勉強するのは普通じゃないのか?
そう思ったけど、まどかちゃんの「なんで?」無垢で他意はないものに聞こえた。
「引っ越したばかりで部屋にテレビがなかったんだ。だから代わりに毎日教科書を読んだ」
話終わった後、しばしの沈黙があった。
あれ?嫌味っぽかったかな。
「ふぇーー。テレビの代わりに教科書!」とちょっと高めの声を出してどこかに行ってしまった。
当時のまどかちゃんは間接的だけど知っていた。テニス部のエラいカッコイイ先輩とまどかちゃんは付き合っていた。
先輩はテニスの腕はイマイチだけど、スタイルが良くカッコいい髪型をして女子から人気だった。
まどかちゃんはどちらかといえば普通の子だったけど、先輩がまどかちゃんにアプローチしたらしい。
不思議な魅力がある子なのかも。実際、周りでまどかちゃんを好きな男子は多かった。
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