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「そーんな冷たいことできないよ。優しい優しい幼馴染みさんとして、ハヤトのケアをして差し上げないと」
「へっ! マトメのはいつもの野次馬根性だろうが」
ハヤトは乱暴に自分の靴を取り出しながら悪態をつく。
クラスが違うあたしは一旦離れて自分の棚へ。
スニーカーを履こうとスノコに座ると、向こうは立ったまま自分のスニーカーに足を突っ込んだ。かかとを踏み潰してさっさと行きやがる。
「ちょっと待ってよ! せっかく待っててあげたのに!」
「待っててくれって頼んでねーし」
ようやく靴を履いたあたしは、もう校舎の外に出たハヤトを走って追いかける。
「そうそう。前の時は待っててくれって泣いて頼んだくせに、なんで今回は黙ってたの? 遠慮なんてする仲じゃないでしょうに」
がしっと右腕で肩を抱いてやる。背はあたしの方が高いけど、中学に上がって一年ちょっと経ち、こいつはなんか骨格が変わってきていた。
ハヤトが片手を使って簡単にあたしの腕を引き剥がす。もうあたしから力ずくで何かするなんてできない。
「遠慮なんかじゃねーし。前ん時、めちゃくちゃウザい絡みしやがったから今回は放置だ」
そう言って、どんとあたしの肩を押してきた。乱暴に見えるけど、ちゃーんと力の加減はしてある。
それでもよろめいたあたしを、野犬みたいな目で睨んできた。
「なのにテメーは知ってやがった。なんでだよ!」
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