4482人が本棚に入れています
本棚に追加
一昨日の仕事中からなんだか怠さがあった。
外は炎天下。焼け付けるような太陽が夕方まで続く。
会社から熱中症には気を付けるようにと通達もあった。
いくら建物が涼しくても仕事中は忙しいと水分補給を忘れてしまう。
こまめにしていたつもりだけど、なんだか熱中症とは違う倦怠感があった。
そして翌日。
十年ぶりぐらいに発熱した。健康だけが取り柄なのに体調を崩した。
がらがらの声で支配人に連絡を入れれば、珍しく慌てていた。
プレジール設立当時からの付き合いだ。
彼の人となりは知っていたつもりだけど、電話口でもわかるほどおろおろしていたのでちょっとだけ笑ってしまった。
幸い、明日・明後日はシフト上は休みだ。
溜まっていた有給を使ってその日は休んだ。
気づいたらその日は一日寝て過ごしていた。目が覚めたら夕方で、今度は夜中だった。
早く治さないと。
その一心で救急箱を取り出した。
薬を飲めば多少楽になるだろう、そんな希望的観測だった。
だが、薬の前にふと目に入った体温計。それを取り上げた。
それほど熱がなければ薬さえも要らないと思ったのだ。
だが、熱を計ってみれば、『三十九度八分』と見たことのない数字に目が回った。
あまりのショックに薬のことなんか頭からすっ飛ぶ。
大人しくベッドに戻れば『三十九度八分』という数字に押しつぶされそうになり、一層酷くなった気がした。
最初のコメントを投稿しよう!