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謝罪のメールを送って僅か一分も経っていないのに、玄関のチャイムが鳴った。ピンポーン、と鳴った後、数秒後またすぐ鳴る。それは次第に間隔が短くなっていく。
……うるさい
仕方なくまだ怠くて重い体を無理矢理引きづってインターフォンの画面を覗く。
すると、案の定志築くんが立っていた。
「…はい」
久しぶりに出した声はガサガサで思っていたよりもしゃがれていた。
声音も小さくて、向こうに聞こえたのかわからない。
『開けてください』
いったい何馬鹿なことを言ってるのか。
私は昨日より幾分マシになった頭で思う。
『開けてくれるまで鳴らし続けます』
彼は言うや否や実行する。
おかげでチャイムの連続攻撃にマシになった頭痛がぶり返しそうになった。
『彩羽』
チャイムの連続攻撃に意識が飛んでいきそうになっていると、玄関から呼ぶ声に我に返る。
『心配なんだ。頼むから開けてほしい』
切実にお願いされた私の心はぐらぐらと揺れる。
「…まって、シャワー」
そう。二日もお風呂に入っていないのだ。
髪の毛はべたべただし、パジャマも着替えていない。
『そんなこと、気にしなくていい。病人なんだから。だからここを開けてほしい』
玄関の扉がノックされる。きっと彼は梃子でも動かないのだろう。
私はよたよたとふらつく足で玄関に向かった。だが、そこにある段差をすっかりと忘れてしまい、足を踏み外してドスンとこけた。
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