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 『ちょっ?!彩羽さん?!彩羽!!!』  ダンダンダン、と扉をたたく音が大きい。  目の前の扉がぶち破られるんじゃないかと思う。  私は座り込んだまま、その扉を見上げた。  そして、こけた拍子に擦りむいたらしく足から血が滲んでいた。  ただ、足の痛みより頭の痛みだ。まだ扉の向こうで志築くんが呼んでいる。  私はなんとか起き上がるとドアノブにもたれかかりながら、鍵を開けた。  がちゃん  その拍子に体が傾く。  音を聞いた志築くんが私が扉を開ける前に外から引いたらしい。  「彩羽さ…、わっと」  扉にもたれかかっていたせいで体は一緒に外に投げ出されそうになる。  だが、志築くんがキャッチしてくれたおかげで投げ出されずに済んだ。  「…ありがとう」  「いえ」  志築くんがふい、と目を逸らした。  どうしてなのか、と考えるより早く彼が私を抱き上げると玄関の扉を閉めて寝室に向かう。  「…あの、シャワーを浴びたいの」  「…わかりました」  志築くんはさすが同じマンションに住んでいるせいか勝手がわかるらしい。  私を抱き上げたまま、お風呂場に向かうとゆっくりとその場に私を下ろした。  あ、バスタオル…  「あ、あの、志築くん」  「大丈夫です。俺は何も見てません。ただ、できればTシャツとハーフパンツぐらいにしていただけると助かります」  志築くんはそれだけ言って静かに脱衣所の扉を閉めた。  私は何がなんだかわからなくて閉まる扉を見送る。そして振り返って鏡に映った自分に愕然とした。
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