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****  「峰さん、もう大丈夫なんですか?」  志築くんが来てくれた翌日、すっかりと熱は下がっていた。  ただ、念のためもう一日様子を見て翌日熱がないことを確認して出社した。  情けないことにシフト以外に三日も休んでしまった。  久しぶりに職場に顔を出せば皆心配してくれていたらしく優しい言葉をかけてくれる人が多くて少しだけ驚いた。  「ええ。おかげさまで。休んでごめんなさい」  「何言ってるんですかー!体調が悪い時ぐらいゆっくり休んでくださいよ」  「そうですよ~。峰さんが休んで困るのは支配人ぐらいですし」  そんな支配人は私の顔を見るや否やあからさまに安堵した表情を見せた。  たしか、プリエールに来てこんなにも休んだのは初めてだしきっと支配人も驚いたのだろう。当の本人がこんなにも驚いたのだし。  「もういいのか」  「ご迷惑をおかけしました」  「峰の仕事はたんまりと残してある」  それはどや顔で言うことじゃないはずだけど。    白い目で見れば支配人は「さあ、仕事仕事」と背を向けて事務所に行ってしまった。私は肩を落とすと朝礼の準備をする。  「…そういえば志築くんは?」  「志築くんなら今日遅くに打ち合わせが入ったので午後出勤です」  プランナーならこういうことは多々ある。  私は「そう」と一言呟くと朝礼の準備を始めた。
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