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 「「…あった」」  私の予想通り、その箱は食品倉庫の中で見つかった。しかも新しいもののせいで奥に追いやられていた。古いものから順に使うためにきっと奥に追いやったのだろう。だけど、そのおかげで見つけるのにとても苦労した。  「これ、皺大丈夫ですか」  「うーん。わからないわ。見てみないと」  送付状には挙式の日付とご両家名様を必ず記載するようにお客様にお伝えしている。  だが、この送付状にはそれらの記載はない。『衣類』とかろうじて記載されていたらしいが『衣』の部分が擦れており、『食』に読めなくもない記載だった。  志築くんが懸念していたとおり、降り曲がった状態で見つかった衣装は、はっきりと折れ線が付いている。これはアイロンがいる。  「明日、早朝に池上さんにお願いしましょう」  とりあえず衣装は衣装室に運びラックに吊るすことにした。  衣装室には届いた参列者の衣装を保管するための場所だ。  そこには大きなアイロン台とプレスがある。  時々皺になっている衣装があるのでそれを綺麗にしてもらう為に置かれている。    
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