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 夜ご飯は何にしよう。そして作り置きも作らないと。  ただ、夏場はあまり沢山作り置きできないから困るのよね。  そんなことを思いながら私はスーパーの生鮮食品コーナーを歩いていた。  籠の中には夏野菜の茄子やトマトが入っている。    パスタにしようかな。それともカレー?  どちらもソースを作り置きして冷凍しておけば後は麺を湯がくだけ、もしくはお米を炊くだけで済む。この際たっぷり時間はあるし、両方作ってもいいかもしれない。  「あ」  「あれ?買い物ですか」  珍しいことに休日にばったりとスーパーで志築くんに遇った。  同じマンションなので、エレベーターで遇うことや、駅で遇うことはあったけれど、スーパーで遇ったのは初めてだった。  「ええ。志築くんも」  「はい」  ーーーーーえ?  「……じゃあ」  志築くんはそれだけ言うとスッと通り過ぎていく。もっと何か話せると思った。彼からなにか話題を振ってくれると期待した。だけどその期待は見事に裏切られてその場で石像のように動けなくなってしまった。  ただ同僚とスーパーで偶然遇っただけ。  お互いの生活空間が偶々同じ建物で少しだけ好意を見せられただけ。  そして彼は周囲と同じようにただの同僚として私を扱っただけ。  それなのに、私はそれが寂しい、と悲しい、と感じている。  最初に素っ気ない態度を取ったのは自分なのに、手を伸ばされて引っ込められたことに悲しむなんて甚だ可笑しいのに。  「…困ったわ」  どうすれがよかったのだろう。自分に足りないものが多すぎる。  心に大きな穴がぽっかり空いてしまったような虚しさに打ちひしがれてその場に立ち尽くした。  
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