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 志築くんとスーパーで遭遇した数日後。  私は昼食中に楽しそうに話をしている坂巻さんと島谷さんを見つけて近づいた。  この数日で自分の足りないもの、そしてずっと目を背けて仕方ないと諦めていたことに向き合おうと腹を括った。  「マッチングアプリってどれがお奨めなのかしら?」    絶賛婚活中プランナー代表の坂巻さんに訊ねれば食堂内がざわついた。  そのざわつきがどういう意味なのか、と思いながらも目を見開いて驚いている坂巻さんの答えを待つ。  「えっと、いきなりどうしたんですか。っていうか、婚活するんですか?」  確かに急だったかもしれない。島谷さんも目をまん丸にして驚いている。  それに業務以外のことで私から彼女たちに話かけることは今まで殆どなかった。だからかもしれない、このざわつきは。    「…駄目なの?」  「いえ、駄目というか」  坂巻さんの目が泳ぐ。  もしかして、やっぱりこんなコミュ障はどんな人にも相手にされないと思っているのだろうか。  自分でもわかっているけれど、少なくともそう思う同僚がいるということに改めて気づかされて落ち込んだ。  
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