エスプレッソ・アフォガード

⑤

　ずっとお世話になっていたガラケーを手放し、最新の携帯電話を手に入れた。今の携帯は本体だけでもとても高い。久しぶりにこんな買い物をしたけれど、画面はとても綺麗だし、サクサク動くことに感動した。
　やっぱり、かなり古くなっていたようで、対応してくれた店員さんも驚いていたものね。
　しかもこれで本を読めるし書類作成もできる。素晴らしい。
　もちろんパソコンに比べれば画面は小さいけれど、会社の携帯に比べれば断然良いものだ。

　私は早速その夜、アプリをダウンロードした。
　すると、『お友達かもしれない』と表示された所に両親のアカウントが表示された。

　少し悩んだけれどしばらく連絡のない両親にメッセージを送る。
　文章を書いて消してを繰り返してようやく送った文章はとてもシンプルな報告書のようだった。

　『彩羽です。携帯変えました。電話番号は変わっていません』

　なんとも味気ない文章だけど、両親ならこれぐらいでいい。
　スタンプも絵文字も何もないけれど、二人に送れば即行で既読が付いてた。

　『やっと変えたの？』と母。
　『元気にしてるか？』と父。

　その後、二人としばらくやりとりが続いた。けど、そのやり取りを見てまたもや愕然としてしまう。

　…私、全然会話を広げていない。