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 告白する、コクハクする、KOKUHAKUする……こくはく  告白ってどうするの? 「峰さん、告白するんですか?」  オタメシから早一か月。  季節はひとつめぐり、秋を感じさせる頃。  私は来るXデーにを意識して途方に暮れていた。というのも昨日志築くんに、「もう一か月経つんですね」と言われたせいだ。  「…声に出てたかしら」  「そうですね。ばっちり聞こえるぐらいには」  島谷さんがニヒヒと笑う。その顔はとても面白いおもちゃを見つけた子供のようだった。  今私は仕事中で島谷さんと倉庫にプリエールのパンフレットを取りに来ていた。段ボールの中に入っているパンフレットを補充分取ると両手に抱える。  「好い人いました?」  「…そういうのじゃないわ」  「でも告白するって」  どうやら島谷さんは逃がすつもりはないらしい。  私は仕方なくその場凌ぎの嘘を吐いた。  「…告白する勇気ある人ってすごいなって、ただ単純にそう思っただけ」  口に出して、まるで自分に言っているような気分になった。  志築くんは逢った時からただ真っすぐ気持ちを向けてくれる。  それがくすぐったかったり、嬉しかったり、なんだか私には少しもったいないような、とても贅沢な気分になる。  そんな志築くんがすごいと思う。  私なんかに言ったところで、と俯いてしまいそうになったのを無理矢理顔を上げた。  「峰さんは告白とかしなそうですもんね」  「…そうね。縁もないわ」  「これからですって」  島谷さんに言われて曖昧に微笑み返す。  今まさに、その状況に向かいつつある中、私の悩みはその当日を迎えない限り、解決しそうにないだろう。  ちなみにこの一か月、仕事のある日はどちらかの家で食事をし、休館日は外出したり、部屋でのんびり映画を観た。  志築くん流『おうちデート』というものを教えてもらい、一緒に食事を作り、昼間からお酒を飲んでただソファーに寝っ転がってそのままお昼寝したり、とほのぼのとした時間を過ごしている。  
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