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テーブルにはすでにサラダやバケットが準備されていた。
そこへ彼が熱々のシチューを並べてくれる。
「早く食べましょう」
「…うん」
志築くんが「だから早く手を洗ってきて」と催促するので言われるままに手を洗う。
「「いただきます」」
クリーミーなパンプキンシチュー。
あつあつで具がごろごろして、とてもおいしい
「おいしい」
「ここのメーカー美味しいですよね」
彼は「よかった」と笑う。
仕事の話を含めて今日あった出来事を話す。
こんな風に誰かと共有できる時間を持つことになるとは思わなかった。
でもそれはとても嬉しい誤算。
志築くんが頑張ってくれたから、今この時間がある。
志築くんがこんな私に愛想を尽かさなかったから。広い心を持った人だからこうした時間が持てるのだ。
「彩羽さん、お代わりは?」
「もう十分です」
誰かが作ってくれるご飯がこんなにも美味しいとは思わなかった。
おばあちゃんの作るご飯はこんなお洒落なメニューがなかったから。
そのせいか、私の食事もどうしてもそっちよりになってしまう。
煮物とか煮物とか煮物とか。醤油とみりんをいれて煮詰めれば何でも煮物だと思っている。
「デザートありますよ」
「…何かしら」
志築くんは時々、ううん。彼が食事を作ってくれる日は大体なにか用意してくれる。コンビニの新作スイーツだったり、最近できたカフェのケーキだったり。
「エレンのモンブランです」
エレンとは最近銀座にできたパティスリーだ。
この間、銀座に行ったときとても行列ができていてなんだろう、と話したところだった。
「あ、ちゃんとイチゴもありますよ」
そんな人気のお店で彼はケーキを買ってきてくれたらしい。
いそいそと冷蔵庫からちょこんとした白い箱を持ってきてくれた。
中には、彼の言うとおり、モンブランとイチゴのショートケーキが入っている。
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