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その後、厨房、控室、衣装室、倉庫と館中すべてを案内し終えた後、オフィスに戻ってきた。ちなみにオフィスは建物の一番奥に壁と同化した扉があり、その扉からオフィスに繋がっている。
「随分ゆっくりだったな」
支配人が戻ってきた私達を見てそう言った。時間にして一時間。
それほど長く回ったつもりはなかったけど意外と時間がかかっていたらしい。
「とても分かりやすく丁寧に説明していただけました」
「そうだろう?峰はプランナーではないが、うちで一番説明がうまいと思うよ」
ハハハ、と笑う支配人を半目で見る。
有り難いが、これは支配人に無茶難題言われたせいで培ったものだ。
「その言葉、“明日までに全部覚えてこい”ってA4二十枚ビッシリとプリエールの魅力を書き綴った説明文を投げられた五年前の私に聞かせてあげたいですね」
「つまり俺のおかげか?」
「いいえ。その二十枚の中からプリエールの魅力を厳選して説明文を作った私の努力のおかげです」
「はいはい、ありがとよー。で、どうだった?感想は?」
支配人はうんざりとした顔を私に向けると、そのまま視線を志築さんに投げかけた。
志築さんは苦笑しながら感想を述べる。
「姫姫してなくてよかった、ですね」
「はははははっ。ま、そうだろうな」
「ええ。外観同様、内装も古典的で落ち着いているので。まあ、期待を裏切られなくてよかったです」
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