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「志築、島谷が探してたぞ」
「…」
志築くんは一瞬鋭い視線を支配人に向けたがすぐに肩を竦めて立ち上がった。
「なんだ?峰に用があったんじゃないのか?もういいのか?」
「はい。峰さんへの用はもう済みましたよ」
支配人は私たちがペアであり、何かの打ち合わせかをしていたと思っていたらしい。とても不思議そうな顔をしていたがすぐに表情を緩めた。
「峰、あまりいじめるなよ」
「…虐めてませんが」
「鈍感というか天然と言うか。志築も大変だな」
クククと笑う支配人に出来立ての資料を渡す。
それは来春以降のスケジュールと現状の挙式状況を表すものだった。
志築くんは一瞬顔を顰めたものの「失礼します」とその部屋から出ていく。
「G.Wはほぼほぼ埋まりだな」
「ええ。問題は6月ですね」
「ああ。で。峰は今困っていることはないか?」
支配人の言葉にキョトンとする。
彼は苦笑しながらそのワケを教えてくれた。
「いや。困ってないならいいんだが。まあ、志築のことで困ったら相談に乗るぞ。付き合ってんだろ?」
支配人の言葉に目を丸くして驚けば「この間、手つないで歩いてるの見たぞ」とにやりと笑われた。
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