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「…ディープキスっていうものね」
「知ってるんですか」
「知識としてね」
「なら、話は早いですね」
志築くんは笑うといつものように顔を近づけて傾けた。
もう慣れた感触が、仄かな熱が唇から伝わってくる。
だけど、一度離れた唇が今度は私の唇を舐める。弾力のある肉々しい感触に思わず目を開く。志築くんは僅かに開いた唇の隙間をぬうように舌を差し込むと私が逃げないようしっかりと頭と腰を抱き込んだ。
「んむぅ」
無意識に引っ込ませた舌を誘い出すように彼の舌が奥まで入り込んでくる。
必然的に口が大きく開いた。
蠢く舌が歯列を辿る。上顎を擽られ何故か身体から力が抜ける。
「…っはぁ、…っんっ」
離れた唇は離れがたいと光る糸で繋がった。その糸が弛む前に、志築くんがもう一度唇を塞ぐ。
「彩羽、逃げないで」
臆病になった私はへっぴり腰で彼を受け入れていた。そんな私の様子に彼は眉を下げて笑う。
「気持ちわるい?」
ううん、と首を横に振る。
「分かった。舌、出して」
志築くんが「べ」と舌を出す。釣られて彼の真似をすれば、彼の顔が近づいた。
「!!!」
志築くんの舌が触れた瞬間、反射的に口を閉じてしまった。もちろん舌も引っ込める。
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