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 食事の片付けを終えてふと一息ついたころ、それが始まる。そのレベル上げは暗黙の了解でルーティンになった。  「レッスンしましょう」  志築くんのその言葉が合図になっていて、彼がそう言えばら私はただ頷いて受け入れるだけ。  彼主導で始まるレッスンは、いつも軽いキスから始まる。時々わざと焦らすように意地悪する彼だけど基本的に優しくて、キスだけで毎日溶けそうになっていた。    そして、志築くは志築くんで、そんな私を楽しそうに虐めている。その目はとても優しいとは言い難いのに、私は彼のその目が好きだった。  “逃がさない”と言われている気がして、逃がさないでほしい、と縋ってしまう。  逃げ道すらなくしてほしいと乞い、彼に捕まえられたいと願ってしまう。  「…私、変なのかな」  自分にこんな一面があるとは思っていなかった。ただのドエムじゃないか、と愕然とする。  「変…ね」  変と言えば、レッスンをするようになって、下着の汚れがひどくなった。  初めはこの年でもう既に尿漏れかと勘違いしたぐらいだ。  だけど、なんというか、月経前のおりものに似た感じで、検索エンジンでこっそり調べてみた結果、ただの生理現象ということが分かった。  「…受け入れる、準備、か…」  カレノアレがワタシノココにハイル。  うん、ちょっと昼間っから考えることではないわね。  カァと顔を赤くして枕に顔を埋める。  彼氏いない歴=年齢、の私に 例え真面目なサイト記事だったとしても、ソウイウ色事には鈍感な方ならばひとり勝手に妄想して悶えるのが関の山。  ない知識を総動員させて描いた妄想事を忘れたくて「わーー」とひとりで叫びながら足をバタバタとさせた。
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