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 もう一回聞きたいです。  志築くんはもう一度同じ言葉を呟いた。  真剣な目が心を射抜く。  きちんと応えなきゃ。    そう、思うのにたった二文字が出てこない。  彼は急かすことただ待ってくれた。  私が金魚のように口をパクパクしているのに、茹で蛸のように顔を赤くしているのに、彼は揶揄うこともせず、ただただ待ってくれた。  「………私は」  街中でクリスマスソングが流れる中、人々は楽しそうに歩いている。手を繋いで歩く恋人達。友人と家族と、それぞれ思い思いに歩く歩道の片隅で、小さな小さな勇気が芽を出した。  「志築くんのことが」  彼と出逢って、時間を重ねれば重ねるほど、日々が彩られていった。知らなかったことが沢山あることを教えてもらった。人と過ごす心地よさも心強さももどかしさも彼に教わった。  「………好き、です」  キラキラと輝くイルミネーションが私の世界を変えていく。まるで彼みたいだ、と頭の隅っこで思いながら逸らしていた視線を彼に合わせた。  「……嬉しい。夢みたいです」  そんなイルミネーションよりも眩い笑顔と蕩けそうなほど甘ったるい笑顔が私の心を突き破った。エフェクトが何重にもかかっているほどの破壊力抜群の笑顔。この笑顔のせいだと分かっているのに、さっきから病気かと思うほど胸が苦しくて辛い。目を離せなくて、逸らせない。ずっと見ていたい。その目に見つめられたい。  「……夢、じゃないわ」  「分かってますよ。温かいですから」  志築くんは確かめるように私を抱きしめておでこをこつん、と合わせた。  「やっと俺のものですね」  目をゆるゆると細める。恍惚とした眼差しに高鳴った心臓がさらに音を立てて駆け出す。            
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