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 ……志築くんってこんなキャラだったかしら。  肩をガシッと掴まれて怒涛の勢いで喋る彼の言葉を話半分スルーしてしまった。  だいぶ理解が追いつかないけどとりあえずなんか怒られていることは分かった。  「……ごめんなさい」  「次から気をつけてください。そんなカッコ、俺だけの前にしてください。本当、駄目!駄目ですからっ」  「……同じ建物内なのに?エレベーター乗っただけよ?」  「駄目です。それに寒いし湯冷めします。せっかくあたたまったのに。だから駄目です」  「……でも」  「俺の家に彩羽さんの荷物置いておけばいいんです。お風呂もこっちで入ってください。歯ブラシも化粧品も全部置いておきましょう」  いいですか?いいですよね?ってかもう決定。  本当、天ね……、彩羽さんはちょっと自分の魅力を分かってなさすぎる。  志築くんは私を抱きしめたままぶつくさ言いだした。言葉を聞いている限り褒められているのか貶されているのか分からない。  ただ、ひとつだけ言えることは、なんだかやっぱり、彼のキャラが変だと思う。  「……あの、志築くん、よね?」  「………それ以外誰がいるんですか」  「だって、その、あまりにも」  彼の腕の中から顔を見上げると能面のような顔した彼と目が合った。途端に頬が色づき始める。  「……ぁー、もう!」  「くぅっ」とかよく分からない声をあげて、またギュッと抱きしめられた。  こっちが、「あーもう」と言いたいぐらい戸惑っているけど、なんだか言える雰囲気じゃないので大人しく黙っておく。  「……あの、お腹減ったわ」  「…………そうですね。知ってます。でもそれどころじゃない!」  誰かさんのせいで、という拗ねた声が聞こえた気がしたけど何も突っ込まないことにした。
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