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 食事を終えた頃には時計の針がとうに22時を回っていた。片付けは私がして、その間に志築くんにお風呂に入ってもらう。  片付けと言ってもスープマグとグラスだけ。  それらを洗うのに三分もかからずすぐに手持ち無沙汰になってしまった。  パジャマに着替えてファブリック素材の柔らかなソファーに座る。  携帯を確認してみたけれど、特に連絡事項はない。  SNSをしているわけじゃないし、あまり興味もないのでテレビをぼんやりと見つめて適当に時間を潰した。  「何か面白い番組あります?」  それから程なくして志築くんがスウェット姿でバスタオルを被ったまま出てきた。もしかすると気を遣って早く出てきてくれたのかもしれない。その証拠にまだ髪が濡れている。私はソファーの真ん中から少しだけ横にずれた。  「特には」  「そっか」  志築くんが「よいしょ」と腰を下ろす。  そして、そのまま背中を向けた。  「乾かしてください」  「拭くってこと?」  「そう」  彼は鼻歌を歌いながら大人しく待っている。  それが大型犬が散歩を待つ姿のように見えて、彼にバレないように笑いを噛み締めた。    
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