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だけど、加虐心を煽るような彼女を前にして何もせずにいられるほど自分は聖人君子ではない。
辛うじて今は思い留まっているけれど、これ以上はもう無理かもしれない。
自分でベッドに誘っておきながら、自爆するとか馬鹿な奴だと思われるだろう。
「すこし仮眠しよう」
今朝は彼女の寝顔をじっくり眺めて出社した。
本当にパーティーとかどうでもよくなるほど、このままここに居たいと思った。
だけど、きっとそんなことすれば彼女に怒られるだろうし。
「今夜も寝不足か」
まだそこまで望むのは早計だともわかっている。それでも早く追いついてほしい、とも思う。
ひとりの家に帰宅した。部屋の中は彼女が今朝出て行く間際に整えてくれたのだろう。綺麗に片付いていた。
かすかに残った彼女の残り香を愛おしくも寂しくも感じながら部屋着に着替える。冷蔵庫の中を確認して、夕食はどうしようかと思いながら夕食の件について彼女にメッセージを送った。
『夕食どうする?買い物必要なら行くよ』
だがすぐに彼女から返事はこないだろう。
俺はソファーに座ると携帯を持ったまま横になった。ベッドに行ってしまうと、うとうとじゃ済まないからここでいい。
ここで彼女の帰りを待つ。腹は減ったけど眠気が勝った。考えてみれば今日昼間にキロリーメイト食っただけだった、と今更ながら思う。
あー、腹減った
寒い外から暖かい部屋に帰ってきたせいかあっという間に意識が混濁する。すぅー、と落ちる気配がしてあっという間に頭の中が真っ白になった。
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