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 決意ほど無駄なものはない、と誰かが言っていた。うん、多分きっとその通りだと今日ほど思ったことはなかった。  ついさっきまで残していた理性は簡単に崩れ落ちそうになっている。  そもそも、こんなにも感じている彼女をこのまま放置する方が可哀想なんじゃないかと思うんだ。  「ツラいでしょ?」  初めてのことに戸惑いながらもちゃんと感じていた彼女に俺は酷く安堵しながらも自分がやり過ぎたと反省した。  胸元を真っ赤にして、キスマークを付けた彼女はもう睨む力もないほどくったりとしている。  それはキスのせいで酸欠なのか、感じたせいなのかわからないけれど、それでも膝を擦り合わせている姿を見れば俺はどうにかしたくなった。  「脱がすよ」  デニムのファスナーを下ろしてズボンを降ろす。彼女はまた小さな抵抗を見せたものの、簡単に脱がされてくれた。白くしなやかな脚が姿を表す。  「や、め」  恥ずかしい、という彼女の言葉を無視して膝をわり、脚を開かせる。淡いパープルのショーツが引き伸ばされる。閉ざされたそこが濃い紫に変色していることを確認した。  「は、ずかしい、」  「うん、知ってる」  彼女の顔が噴火しそうなほど真っ赤で、少しだけ可哀想になる。裏返った声が彼女の必死さを象徴しているものの、だからって止めようとも思えなかった。せめて電気を消してあげた方がよかったかな、と思ったけれどもう色々と遅い。  「大丈夫。今日は挿れないから」  最低ラインのそこだけは守ろうとしているのに、天然の彼女は「え?」と驚いた声を出した。  「……挿れない、の?」  「……え?挿れてほしいの?」      
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