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 仕事から志築くんの家に戻ったらソファーで彼は寝ていた。起こさないように気をつけながら夕食の準備をする。  その準備が殆ど終わった頃、彼の寝顔をどうしても携帯におさめたくて、鞄の中にしまっていた携帯を取り出すと、バレないようにシャッターを切った。  だけど、その目論みは失敗に終わった。  写真は撮れたけれど、普通にバレてしまった。  隠し撮り、なんて気分の悪くなることをしてしまった私に彼はむにゃむにゃと寝ぼけながらそれは「彼女の特権」だと説明した。    目から鱗だった。「彼女の特権」という素敵な特権が世の中には存在するらしい。そして「彼氏の特権」というのも同様に存在するという。  「こういうこと」と私にキスをしながら彼はその先に進んだ。いつもなら止めるだろうタイミングをスルーして胸を触られた。  ネットで読んだ記事で「寝起きはムラムラする」と書いていたことを思い出して「あぁ、彼は今ムラムラしてるんだ」と思うことにした。  だけど、その気分というのはどうやら移るらしく、自分まで変な気分になった。  実際に見よう見まねで触ってみたけれど全然なにも感じなかった胸の先端が、彼に擦られるだけでなんとも言えない感情が溢れた。  それは、快感もあれば不安や恐怖もあった。この先に進むことに興味と好奇心もあった。けれど、彼は「挿れない」と言った。  その言葉を聞いた時、驚くよりも少しだけショックが大きかった。  
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