16/16
前へ
/211ページ
次へ
 歓迎会については、もちろん新たな仲間になった志築さんを歓迎すべく開催することになった。若干数名の落ち込み用は半端なかったけど開催は決定。  ただ、「それならどうして峰さんがアシスタントなんだ」という声が出てきた。  折角落ち着いたのにぶり返すのか、とうんざりする。だけど彼女達からすると納得いかないのだろう。  男性が好きなら、別に私に任さなくてもいいんじゃないか、と思っているらしい。  「まずひとつ。今現状の業務量を考えた為。ふたつ、君たちが襲わないように」    二つ目の理由には所々で失笑が漏れた。最大の理由は業務量に対するもの。  だけど、支配人は今の状況を見て二つ目の理由を付け加えたのだろう。  「ちなみに、俺と町田さん、どっちがタイプですか?」  志築さんは丹羽さんの質問に数舜迷ったあと、斜め後ろに立つ支配人にちらっと視線を向けた。  「え?そっち?」  「恰好いいと思います」  「渋いな」  確かに支配人は渋さのあるおじさまだ。  でも彼の好みはわかる。私もこの三人なら支配人がいいと思う。  王子様、というより武将って感じだけど。  「年上がいいんです、俺」  「確かに、支配人は包容力ありますよね」  「わかります」  そこに加わったのは村上さんと曽根さんだ。  二人とも既婚者だし、三十代半ば。同じ年齢の二人より、年上がいいと思うのはそうだろう。  若干仕事が手につかない人間がチラホラいて、翌々の出勤日には先日休んでいた社員とも顔合わせをして同じことを繰り返した。  一度をそれを味わった彼らはその呆気にとられる姿を見て笑い転げている。  そんなこんなで急な人事でやってきた彼を迎えた翌週の月曜夜。  志築さんの歓迎会が行われた。  一応家庭のある人たちもいるので、自由参加のはずだが、全員参加した。  というのも、歓迎会はだいたいレーヌで行われる。  料理も会場のシェフが腕を振るって作ってくれるのだ。  一応、レストラン業界一位、ということもあり普通においしい。  立食式で行われた歓迎会は筒がなく終了した。    
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4486人が本棚に入れています
本棚に追加