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性急に唇を塞がれた。さっきまでしていたキスよりどこか余裕なさげな荒々しいキスだった。
腕を伸ばして彼の広い背中を抱きしめる。
すると、さっきまで彼の指が丁寧に解してくれた泥濘に熱くて太い楔が打ち込まれた。
「…ぃた…っ、」
指とは全然違う存在感に思わず引き攣った声を漏らす。彼が「痛かったら左手を」と言ってくれたことを咄嗟に思い出して、左手を上げた。
「ごめん、彩羽」
だけどその手は申し訳なさそうな彼の声と共に封じられてしまう。頭より少し上に上げた手は彼の指が絡みしっかりと握り締められた。
「〜〜っ!!」
ごめん、と苦しそうな声が呻く。
メリメリ、と身体が真ん中から縦に裂けると思った。
痛い。痛い、痛い、痛い。
あまりの痛さにギュッと目を閉じて手のひらを握り締めれば、宥めるように、乞うように顔中にキスが落ちてくる。幾分気は削がれたものの、それでも痛みはなくならない。
「もう…ちょっとだから、頑張って」
息もできないほど苦しくて。ただ彼の言葉にこく、こく、と頷くことが精一杯。
狭い愛路を彼が押し広げていく。彼の通った跡は拡張され、広がった空間に埋まる圧倒的質量と圧迫感に不思議と心の奥が満たされていく。
「…智紘、くん」
ごめん、と何度も申し訳なさそうに謝る彼の唇を塞いだ。
謝らなくて欲しかった。ごめん、じゃなくて違う言葉が聞きたかった。
「…っ、ん、」
「…彩羽、はいった」
目尻から滲んだ涙がほろりとこぼれ落ちる。
少し硬さのある下生えが擦れて、ミチッと肌がぶつかった。結合部からじわじわと暖かさが伝わる。
彼はどこか苦しそうに顔を顰めながら、それでも私を気遣ってくれた。名前を呼んで、目尻に滲む涙を唇で拭ってくれる。
「彩羽」
彼に名前を呼ばれるたびに、胸が張り裂けそうに苦しくなる。嬉しくて切ない。満たされているのに不安が襲った。
「……智紘くん」
優しく髪を撫でながら覗き込む彼の目を見つめ返す。
ねえ、教えてほしい。
こんな感情を私は何と呼べばいいのかしら。
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