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しばらく余韻に浸っていると「くぅ〜〜」と訴えるような悲鳴が聞こえた。それに釣られたのか今度は「きゅう〜」とお腹の虫が鳴く。
「おなか、すいた、わ」
「……うん」
考えてみれば一日労働した後なのに、何も食べていなかった。「腹減った」と身体が訴えるのは当たり前だ。そして、緊張からようやく解放されたせいか、空腹と喉の渇きが一気に押し寄せる。
「…準備してくれてたのにごめん」
「ううん。それはいいの」
「先風呂入る?それと飯?」
「……お風呂にする」
気持ちをしゃんとするためにも先にお風呂がいいかな。ゆっくりご飯食べたいし。
「なら、起きようか」
起きられる?と聞かれてよいしょと身体を起こす。彼は脱ぎっぱなしの自分のニットを私の頭から被せると、自分は下だけ履いてベッドから降りた。
「風呂溜めてくるから待ってて」
「…ありがとう」
彼は振り返ると降りたばかりのベッドにまたよじのぼってきた、はいはいするようにして私に近づくと軽くキスをする。
「ごめん、無理させた」
「ううん、大丈夫」
「辛かったら明日休んで良いよ」
あ、と明日はまだ仕事だと思い出した。でも明日行けば次の日とその次の日は休みだ。
「って、誰の許可」
「俺」
志築くんの方が後輩なのに。
思わずそう言えば彼はクスクス肩を揺らしながら「馬鹿だなあ」と言うように笑った。
「これも彼氏特権だよ」
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