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 「年末年始、彩羽、どうするの?」  仲良くお風呂に入り、たった今お腹も満たされて今はソファーに座って食後のお茶を飲んでいた。  怠い身体をなんとか持ち堪えてはいるが、行儀悪く背もたれに身体を預けている。  「……特に予定はないわ」  実家はあるが、きっと家があるだけで両親はいない。今どこにいて何をしているのか、メッセージツールをだいぶ使えるようになったものの、そんな話はしない。    というか、未だ私が話を広げられないだけなんだけど。  「1日の昼にちょっと実家に顔出すだけなんだ。すぐ戻ってくる。だからここに居て。俺が居なくてもこっちにいていいから」  その少しの外出以外も彼は特に出かけないという。  「大晦日は一緒に蕎麦食べて、歌合戦見よう」  歌合戦見るんだ。てっきりバラエティかと思った。私の言いたいことがわかったのか、彼はふと口元を緩めると眉を下げて笑う。  「なんでも良いんだけどね」  「うん」  「彩羽がいれば、なんでも」  志築くんは私とのほとんどない距離を詰めると甘えるようにもたれかかかってきた。  肩に乗る重みに小さな幸せを感じながら、彼の言葉を反芻する。  「初詣も行って、おみくじひいて。買い物とか行く?セール」  「……人多いのはちょっと」  「言うと思った。そしたらのんびりしてようよ。仕事始まるとまた忙しいし」  そうね、と言えば小さな笑い声が聞こえた。  視線を彼に向ければ肩の重みがなくなり、彼を見上げれば。  「好きだよ、彩羽。俺を好きになってくれてありがとう」  マグカップを持った手が巻き込まれないように気をつけながら、抱きしめてくれる彼にされるがままにされた。  空いた手でポンポンと彼の背中を撫でる。  「…私こそ、ありがとう。その、これからもよろしくね」  「当然。彩羽が嫌だって言っても、俺は離してあげられないから。ごめんね」  全くごめん、と思っていない顔がこてんと首を傾げた。役者だなあ、とその顔を見て思わず笑ってしまう。          
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