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 僅かな時間でお二人はかなり具体的にパーティーのイメージを掴んだらしく、色々とプランを仰っていたそう。全て盛り込むことはできないけれど、できる限り要望に応えたいと志築くんはいう。  「俺、とんでもない人を相手にしていると気づきました」  ジャケットのポケットから名刺ケースを取り出すとお二人の名刺を机の上に並べてため息をついた。  その名刺を丹羽さんと島谷さんと私が覗き込んで声を失う。  “代表取締役副社長”  会社をあげた代表のパーティーだ。経費を握る人物が来たと分かっていたものの、こうして文字にしてみて改めて驚いてしまう。    「…ふたりとも副社長じゃん」  「しかも若かったですよ、見た目」  「俺より?」  「丹羽さんと同じ年ですって」  島谷さんが真顔でパソコンを叩いていると思えば、彼らの会社のホームページを調べていたらしい。  みてください、と見せられたページにはイケメンが三人、ソファーに座って談笑していた。なにかの雑誌に掲載されたページらしく、七周年を迎えた現状と今後の会社の未来について話している記事だった。  「皆さんイケメンですね」  「くそ。俺が霞む」  「心配しなくても丹羽さんは足元にも及びません」  「イケメンで副社長って世の中不公平だ!」  丹羽さんの心の叫びはスルーして記事を読む。  三人並ぶこの真ん中の人が今回の新郎なんだろう。なんというか、整ってるな、しか感想が出てこない。  プロフィールを見ると、某有名私大卒業し、27歳で起業したと。  初めは郊外の3LDKのファミリーアパート兼自宅から会社が始まったらしく、この七年間の苦楽について面白おかしく書かれていた。  
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