15/36
前へ
/211ページ
次へ
 それから程なくして昼食の時間になった。  プリエールには建物とひと続きになったカフェ兼レストランがある。    そこの厨房で作られる賄いが私達の昼ご飯。  社員食堂のようなもので、丹波さんと島谷さんと志築くんと向かった。  「丹羽さんはどうしてプランナーになろうと思ったんですか?」  志築くんの質問にスプーンを持つ丹羽さんの腕が止まった。対する志築くんはもぐもぐと顎を動かしている。  「俺は」  「プランナーは女性が多い職場でしょ?だから丹羽さんレベルでもまあまあモテるのよ。ただチヤホヤされる環境がよかった、でしたっけ?」  そこに島谷さんがナチュラルに答えた。  丹羽さんらしい答えだ。とても頷ける。  「違う!……まあ、下心はあったけど」  丹波さんは大きく否定はしたものの、目を逸らしながらスプーンを口に入れた。  だけど、彼の態度から察するに一応ちゃんと理由があるみたい。  「小学生の時、従姉妹の結婚式にでたんだ。結婚式が初めてでさ。スゲーなって。これ(結婚式)動かしてる人格好良い、って思ったんだよ。まあ、華やかに見えるけど、凄く過酷な環境だと気づいたのは早かったけど」  丹波さんは遠い目をする。  だけど、彼は元々サービス精神が旺盛だし、人当たりも良い。丹羽さんが担当になったお二人様からも『親身に相談に乗ってくれる人』や『小さなことでも相談しやすくて話しやすい人』等、定評を頂いている。  
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4485人が本棚に入れています
本棚に追加