エスプレッソ・アフォガード

②

　新郎の九条様と新婦の玲様は先日初めてご来館くださった。ホームページで見た九条様は凛々しく、どちらかと言えばクールな印象だったけれど、玲様を見る目はとても優しく、雰囲気も柔らかかった。

「なんだか知らないうちに決まっちゃってて」

　それもそのはず。香月様と木下様はとてもはりきっていらした。玲様が苦笑いするのも頷ける。
　新郎様は若干呆れていたものの、立場を理解しているらしくこのパーティーに関しては会社としての開催になるため、お二人に丸投げしていたそう。

　志築くんが、お二人に当日の流れを改めてご説明し、簡単に館内を案内した。
　その際、ドレス等も預かり（ドレスはオーダーメイドの一点もの）、翌日プランナーを含めた殆どの社員はそのドレスにうっとりとしていた。

　その時のことを思い出しながら志築くんの説明に耳を傾ける。

　パーティーは午後一時から。
　通常は、二時間半だが、事前に相談があれば延長できる仕組みになっている。加えて、彼らの場合、挙式なしのパーティープラン。そして、ご要望通りパーティー終了時刻は午後三時半と通常より少し長い。それは、少しでもご来賓の方がお顔を見せていただけるように、と香月様が提案したことだ。
　食事はやや少なめだが、飲み物は通常の倍準備。立食だが、ロワからジャルダンへと続く大きな窓を開け放っているため、出入りは自由。
　小さなお子様がいらっしゃるご参列者の方はそちらに案内する予定だ。