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 「今日は本当にありがとうございました」  「もういいわよ。何度も聞いたわ」  「ですが、本当に。助かりました」  今日のパーティーは大きすぎた。そしてイレギュラーも多すぎた。  異例中の異例だし特殊だ。変な話、今日のこのパーティーを経験したなら、この先よほどの異例がない限り、全て平凡に映るだろう。  「九条様も奥様も感謝してましたよ」  「そう」  「はい」  演出も素敵だった。最初の動画も誰が編集したのか、よくできたものだった。お二人のプライベートの様子が分かり、クールな九条様の印象も笑いに変わり、参列者からは温かい眼差しと揶揄いを含む弄りで会場は大盛り上がりだった。  罰ゲームで、猫耳のヘアバンドをつけられたときは、ヘアメイクさんがすっ飛んでいくという事態も発生したけれど、パーティーにご参加くださった皆様が口を揃えて「良いパーティーだった」と褒めてくださった。何より、笑顔でご帰宅なさったのが安心した。  「お二人が楽しんでいただけたならよかったわ」  いくら会社の為と言えども主役はお二人だ。  準備を香月様と木下様に丸投げしたと言えど、彼らもきちんとこの日を迎えるにあたり、ご協力してくださった。  この後、九条様の会社の皆様は場所を変えて二次会があるという。  参加は自由らしいが、そのまま流れる人が多いらしく、近くのレストラン会場を貸切るらしい。  「ってことで、峰さん、僕たちも打ち上げ行きません?」  
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