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 驚いて目を丸くする私が、彼の綺麗なくっきりとした二重瞼の中の瞳に映り込んだ。  繋がれていない手で今触れられた頬を押さえてポカンとしている間抜け面だ。  そんな私を志築くんが面白そうに見下ろしている。  「今の行為に嫌悪感はありました?」  志築くんが確かめるように訊いてくる。  だけど、今の私にはそんな余裕がなかった。  「じゃあ聞き方変えます。峰さんは、俺のこと、人間としてどうですか?」    ……人間として?  「普段の発言とか立ち振る舞いとか見て生理的に受け付けないとかあります?」  そういうのは感じたことないかな、と思いぼんやり首を横に振った。  「一緒に居て苦だと思いますか?」  苦だとは思わない。  だけど、流されている感は否めない。  「……俺と食事するの、本当は嫌でした?」 志築犬の耳がぺたんと下がる。  どこか様子を窺うようなその目は、まるでご主人様に怒られるのを必死で宥めようとするわんこみたいだった。  「……嫌、じゃないわ。その、戸惑ったけれど」  素直に感想を言えば「どこで戸惑いました?」と訊かれた。どこで、と言われたものの、誘われる度に戸惑ってしまう。  「それは慣れてないからですよ」  あっさりと答えを導き出した彼の言葉になんだか腑に落ちた。悲しいかな、食事に誘われるのは支配人ぐらいだ。しかも業務上仕方なくの部分が大きい。  だから『慣れていない』と言われて『そんなものか』と納得してしまった。    
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