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 ___それでは、また職場で。  そう言って彼と別れたのはつい先程のこと。  見慣れたワンケーの部屋の扉を開けて一息をついた。  「ふぅ」  こうして、志築くんとデート?を重ねて早四回。初めこそ「どうして私?」と思ったけれど、彼はニコニコしながら毎度楽しんでいるように見えた。  本当に好意を持ってくれているらしい。  ようやく今になって少しだけ信じられるようになった。    「……この家に呼ぶのは……ちょっと」  ついこぼれてしまった本音に苦笑する。  なぜなら、部屋はアイボリーを基調とした、ふわふわしすぎた部屋だ。  自分のキャラじゃないと分かっていても、誰かに見られる訳じゃないし、と好み全開で家具を集めたら白っぽい色で統一されてしまった。  ベッドなんかは見せられたもんじゃないほどフリルがあしらわれた布団カバーだ。  ラグマットもふわふわで、この部屋に志築くんを呼ぶのは躊躇われる。  ……やっぱり、当日はどこかお店でも予約しようかしら。その方が確実に美味しいし、手間もかからない。  そう決めたのにも関わらず思わぬ形で彼を招きいれることになるとは、この時の私は露程も考えていなかったのだった。  
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