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心細さを感じなくなったのは一体いつからだろうか。 人は体を壊すと気持ちまで落ち込むという。 確か、最後に体調を崩したのはいつだったっけ。  朦朧とする意識の中でサイドテーブルに置いたペットボトルに手を伸ばす。  ひどく喉が渇いて、体が熱かった。  早く喉を潤したいのに、手が届かない。  仕方なく怠い体を少しだけ起こしてペットボトルを掴もうとした。  「あ、」  だが、残念なことに上手く掴めなかったペットボトルがテーブルから落ちた。床に二度バウンドして転がっていく。ベッドとは反対方向へ。  ころころと転がり遠ざかる球体を見て頭痛が酷くなった気がした。  不精せずにちゃんと起き上がればよかった。  そんなことわかっているのに、十年以上ぶりに体調を崩した今のメンタルに何を言っても無駄だ。  風邪をひく、ってこんなにもつらかったかしら、、、    はぁ、と溜息ひとつ零せないほど辛い身体に鞭を打つ。なんとかしてベッドから足を下ろした。    
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