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  ____ドスン  だけど、昨日から一日中寝ていたせいで足に力が入らず、当然のように床に座り込んでしまった。   結構な音が鳴った。   じわりじわりと痛みが伝わる。  ……痛い  立つ気力もなく、頭痛が酷くなるばかりで涙が滲む。  ただただ、水を飲みたくて這うようにして転がったペットボトルを掴んだ。  蓋を開けようと手に力を入れる。  だけど、なかなか開かない。心が折れそうになるだけだった。  ペットボトルは諦めて、とりあえずキッチンに向かうことにした。  冷蔵庫の中には麦茶があるはずだ。  それ用の容器にいれているので握力はいらない。  なんとか踏ん張って立ち上がり、ふらふらしながらたどり着いた冷蔵庫。  いつもならなんとも思わないのに、今日の冷蔵庫はとても遠く感じる。    元気になったら、ベッドのそばに冷蔵庫を置こうかしら。  そんなことをぼんやりと考えながら冷蔵庫の中を見て愕然と崩れ落ちた。  おちゃが、ない…  ひんやりとする冷気が一瞬だけ頬を撫でた。  火照った顔にはちょうど良かったけれど、麦茶の入った容器を見て脚から力が抜けた。  ここまで何のために這ってきたのかわからなかった。  必死に歩いたのに。ただ、喉が渇いただけなのに。  そう思えばついに涙が溢れてきた。  もう水道水でもいい、と思うもあまりのショックに立ち上がれない。  お茶だけは常備していたはずなのに、どうして。  崩れ落ちた身体を冷蔵庫に預ける。  朦朧とする意識に飲み込まれていく感覚が襲いかかった。
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