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パッとそちらを見ると、息を整えるように肩をわずかに上下させるライの姿があった。
(ナイスタイミング!!!流石ライ!!)
慌てて立ち上がってライの元に向かう。
「お。待っていたのは彼か」
「はい、そうでございます。サイラス様、お時間を取らせてしまい申し訳ございませんでした。」
「気にするなよ、時間と言っても数分にも満たないだろう?」
「ご配慮に感謝申し上げます。では、失礼いたします」
淑女の礼をして、さっとその場を立ち去った。
少し先まではいつもの歩調で、そこから離れてからは気持ち早歩きで学園を出て一息つく。
「はぁ~~~……、ナイスタイミングよ、ライ。ありがとう」
「いや…大丈夫だったか?」
「うん!セーフの範疇だと思うわ!!」
ホッと胸を撫でおろしてライを見ると、少しバツが悪そうな表情をしていた。
「ライ?」
そんな顔何年ぶりに見たのかしら…、とは言わないでおいて、どうかしたのか聞いてみる。
するとフイ、と視線を逸らして
「まさかサイラス様があんなとこに行くと思わなかったんだ…。悪い」
と謝られてしまった。
確かにまさかサイラスが登場するとは思っていなかったものの、流石にそこまで予見はできない。
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