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「ただの偶然よ。ライが来てくれたから大丈夫!帰ろ!」
今日の授業でわからなかったことを教えてほしいの!とお願いすれば、ちょこっとだけ頬を緩めて「わかった」と頷いてくれるライ。
その姿に安心して二人、帰路についた。
あれは本当に偶然だった。そう、偶然よ、だから…
「よ!今日も彼を待っているのか?」
「…サイラス様、何故こちらに?」
あくる日の放課後。
今日はここでのイベントもないし、大人しくライを待っていようと息込んでいた矢先のことだった。
人もまばらになっていた教室に現れたサイラス様。
現れるだけなら実害がないので良いのだけれど、話しかけられるのは別問題だ。
昨日顔を覚えられたのか、何か気にくわなかったのか何なのか、入ってくるなり真っ先にこちらに来て声を掛けられたのだ。
まばらになった、とは言えまだ何人も残っているの中急に現れたサイラス様に声を掛けられている私は注目の的になる。
「ええ。彼は私の従者ですから」
「へえ…?」
(ううぅ…失礼な態度をとるわけにもいかないし……、ライ早く来てよぉ…!!!)
笑顔が引きつりそうになるし、周囲の視線も痛いので本当に助けて欲しい。
私の答えに少しだけ驚いたように目を見開いたかと思うと、ニッとはにかむサイラス様。
さすが乙女ゲーキャラ、破壊力抜群ね。なんて思いながらも次にくる言葉をどう躱そうかに意識を集中させる。
「なあ、今度…」
「失礼します。お嬢様に何か御用でしょうか」
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