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スッと隣にできた影に思わず安堵の息をつきそうになる。
本当に息をつきようものならそれはサイラスへの不敬になり兼ねないのでぐっとこらえた。
「遅いわよ、ライ」
「申し訳ございませんお嬢様。…サイラス様、お嬢様に何か御用でしょうか」
「あー…。いや、今日は止めておこう。」
「左様でございますか。お話のところ失礼いたしました。」
「いや、構わないよ。じゃあまたな、レイラ嬢」
「え…あ、はい。サイラス様」
ニコッと笑って手を振りながら去って行くサイラス様。
(…また、とは何…??)
できれば金輪際こちらには構わず、主人公の方に向かって欲しいのだけれど。
そう思いつつも顔には出さない様、一礼して答えてからライと共に教室を出た。
「ど、ど、どうしようライ…何でこっちに来るのかしら…」
「…取り急ぎ、屋敷へ戻りましょう。話はそれからで」
「それもそうね…!行きましょう!」
それからまた早足に家に戻り、私の部屋ですぐにライと作戦会議に入った。
本来女性の部屋で二人きりなんて…!と言われるものだけれど、ライは別。家族も使用人も気にしないので大変ありがたい。
「何でサイラス様に目を付けられているのか…」
「昨日初めてお会いしたし、今日に限っては急に来たから逃げ切れなかったわ…。」
「だろうな。しかも”またな”って言っていたから明日以降も何らかのアクションがあっても可笑しくない」
「うぅ…何でなのよ……。」
思わず頭を抱えてしまう。
王太子と主人公は良い感じだし、リリアンヌたちは私の事なんて眼中にないはず。これで大丈夫だと思っていた分、焦ってしまう。
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