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「君は、レイラ嬢の…」
「お嬢様に、お手を触れないで頂けますか。」
「ら、ライ…!」
手こそは出さないものの、分かりやすく圧をかけている。
身分上流石によろしくない、というのは明確で、慌ててライとサイラスの間に入った。
「サイラス様、ライが失礼いたしました。先程のお話は申し訳ないのですが、私、家のことで都合が…。またの機会にぜひ」
「…わかった。残念だが仕方ない、また誘わせていただこう」
「寛大なお心に感謝申し上げます」
笑って返してくれたサイラスに心からの感謝を伝えつつも、
では、とライの手を取ってその場を離れた。
帰るまでの間、ライは一切声を発してはくれなかった。
数刻の内に家に着いて、帰宅の挨拶も程々に今度はライに手を引かれて自室へと入った。
そこまでは割といつも通りなのだけれど
「あの…ライ?」
部屋に入ってもライは手を放してくれないし黙ったまま。
正直ここまで読めないライは初めてで、どう触れたらいいか全くわからない。
「ね…ライ、何か話して……っえ」
「レイラ」
「っ!」
居たたまれなくて、話を切り出した時だった。
グッと掴まれていた腕を引かれて、そのままライの胸に衝突してしまって、
慌てて離れようとしたら抱きしめられてしまって身動きが取れなくなった。
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