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「ライ…さん?」
「…お前、なんで無防備なの」
「え??」
無防備、とは…?
今日のことは完全にイレギュラーで、何ならライが来るまでなんとか乗り切ろうと、むしろ意識していたのに無防備と来た。
ライの顔が見えないので、怒っているのかもわからない。
長年の経験上、ここは謝っておくべきか、と判断する。
「ごめんなさい…?」
「はぁ…、何されてたのか言って」
「え、えと、何か裏庭から、私が見えたから来たって」
「…それで。」
「ぅ…そ、それで、明日食事に行かないかって誘われて…」
(何かやっぱり怒ってる…??)
そろりと、顔を上げてライの表情を見ようとして、「こっち見ない。」と手で頭を押さえられてしまった。
押さえられればもっとライに密着してしまうわけで…。
さっきまでの緊張感とはまた別の緊張が、心音を速めて体温を上げる。
「…その後は。」
「こ、断ろうとして!何て言おうか考えてたら、頬に手が触れて、それでライが来てくれて…!それだけ!」
「ほんとに?」
「ほんとに!!」
「頬、触られただけ?」
「そうだってば…!!も、いいでしょ…!」
離して、とライの体を押すと、抱きくるむ手の力が緩んで少しだけ隙間ができた。
ホッとして顔を上げようとすると、すぐに影ができて。
頬に柔らかい熱が触れた。
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