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「ね!言ったでしょう!!」
「まあ、そうですね…。まさか耳にタコができるくらい聞かされた話が現実になるとは思っていなかったですよ」
「そ、そこまでは言っていないでしょう!大体!ライがすぐ信じてくれないからよ!!」
「ここがゲームとやらの中で、自分は悪役令嬢の取り巻きモブだとか急に言われてすぐ信じる方がどうかと思いますけどね」
「ぐぬぬ…っ」
そう、ここはゲームの中の世界。
そして私はこのゲームを何周もプレイしては創作同人誌を書いたりなんかもしていた、社会人OLだった。
残業の帰り道、運悪く足がもつれて倒れ込んだ先は赤信号の歩道で、目前には車のライトが光っていて……そこからはもう記憶はない。
何がなったのか、目が覚めるとそこはきらびやかな天井が広がっていて、傍らには涙を浮かべる人々が立っていた。
『レイラ!!』
『お嬢様…!!』
『レイラ、レイラ…!ああ、良かった!!』
ガバっと抱きしめられて、それに驚く以前に何のとこかわからず唖然としている内にあれよあれよと周りは大忙し。
『何のことですか?』なんて聞けるはずもなく…。
ふと、少し離れたところに置かれたドレッサーに自分の姿が映っていることに気付いて、それに愕然とした。
身体が明らかに小さい。顔つきも、小学生程度ではないかと伺えた。
おまけに生前は黒の短髪だったのが、今ではピンクオレンジの長髪に。一重だった目はぱっちり二重に顔の色つやも良い。
何故…。そしてどこかで既視感があると思っていた。さらに落ち着きを取り戻せば先程まで自分を取り巻いていた人たち全員の名前も間柄も、今なぜベッドの上に居るのかをすべて思い出し、どうもこれは巷で人気を博していた【転生もの】なのではないかと考え付いた。
さらに、ここがゲームの中の世界だと決定付けることがすぐ起きた。
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