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「そ、そうでしたの…」
「それで気になって、教室で声をかけた時もまた同じような反応をするものだから、余計気になってしまって。」
食事に誘ったんだけどね、と言われて目が合って、赤い瞳に何かを見透かされたような気持ちになってしまう。
「まさか自覚がないとは思わなかったな。」
「そ、それは、ええと、ライは幼い頃から一緒にいるので…」
「うん。ということはやっぱり、まだチャンスはあると捉えるが、どうだろうか?」
「へ???」
何でそこに戻るんだと呆気に取られていると、す、とそれはスマートに手を取られてしまって。
「彼のことが好きだから、何かと理由をつけて断られてると思っていたらそういう自覚があったわけではないと。」
「さ、サイラス様…」
「ならまだ奪えるだろう?彼に見せるような表情を、俺にも向けて欲しいな」
「ひえ…っ」
イケメンのキラースマイルに声が出ない。
そのまま取られた手の甲に、サイラスの唇が近づいて触れる。
ドッと、心臓が大きく跳ねて、体が震えた。
それとほぼ同時だった。
「レイラ」
そう低く響く声が聞こえたのは。
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